多元宇宙統合生命論・序

多元宇宙統合生命論

多元宇宙統合生命論・序

私たちは、どこから生まれて、どこに還っていくのでしょうか・・・
私たちは、何のために、この地球という世界に 生まれてきたのでしょうか?

私たち生命と、世界の誕生の仕組みは、遥か昔からの 永遠のテーマに違いありませんね。

目に見えない世界の真実は、現代の科学では、とても証明できるものではありません。
それでも、最先端の科学の仮説が、古の智慧である仏教の真意に、次第に合致していることが、
学びを深めれば深めるほど、見えてきました。

私たち人間の生命は、宇宙生命と同一の存在です。
大宇宙を どこまでも続く 広大な「海」に例えた場合、私たち人間は、「波」の役割といえます。
波は海そのものです。海の「働き」に過ぎませんね。

宇宙生命も、進化 成長するためには「変化」が必要です。
何も無いところには、何も生まれないからです。
だから私たちが、地球という現実世界で、山あり谷ありの人生を歩みながら、成長していくことで、
宇宙生命も成長していくのでしょう。

私たち人間は、「三次元の世界」を認識して生きています。
しかし、四次元・五次元・・・と、より高い次元から見た場合は、
内へ内へと折り畳まれるように小さく見えなくなっていき、
私たちが「心」と呼んでいるものの中に、全ての世界があることになると考えられますね。

量子論の「多元宇宙」の仮説によると、
無限ともいえる数の、可能性がある世界が存在すると考えられています。
これらの世界は、私たちが認知している 三次元の世界と同じような現実世界が、並行して幾つも存在しているというイメージではなく、
高次元の世界に、すべてが溶け込んで 一体化しているかのようにあるのではないでしょうか?

科学的にいえば「重ね合わせ」の状態になっていると考えられます。

この全体の世界を「宇宙生命」という言葉で表現しています。

もちろん、私たちが「大宇宙」と呼んでいる、夜空に広がる宇宙は、
あくまで三次元の延長としての空間に過ぎません。

仏教では、「あると言えばない」「ないと言えばある」ものを 「空」といい、
「確かにある」ものを 「仮」 といいます。
つまり、宇宙生命は 「空」 であり、現実世界は 「仮」 となります。

そして「空」の状態で、すべてが一体化していることを 「冥伏」しているといい、
「仮」 として現れている状態を「顕在」しているといいます。

私たちのこの世界の実相は、冥伏と顕在を、瞬間、瞬間、繰り返し続けているのではないかと考えられます。

まさに無限の未来の可能性が重ね合わせとなった「宇宙生命」から、この現実世界が現れ・・・
そして次の瞬間には、また宇宙生命に冥伏し、またすぐに顕在化しているのでしょう。

例えれば、映画やアニメのフィルムのコマ送りのように、瞬間・瞬間の連続で生まれ続けているのが、この世界の真実なのだと考えます。
フィルムは、「目にも止まらぬ速さ」で進むことで、人間の視覚には、連続した動きとして映ります。
同じように、この現実世界は、「心にも止まらぬ速さ」で冥伏と顕在を繰り返しているため、私たちには「常に存在し続けている」ようにしか感じないのでしょうね。

仏教においては、すべてが冥伏した宇宙生命から、「仮に結びつき 顕れている」という意味で、
現実世界を 「仮」 と表現しています。
これは、この現実世界は、瞬間・瞬間、変化して、
常に新しい世界が生まれ続けていることを示しています。

そして近代科学の叡智が追いついてきたように、
「現在」という瞬間の 時の中に、「過去も未来も同時に存在する」と考えます。

もし私たちの世界が、過去、現在、未来とずっと続いた同じレールの上に存在するのなら、
過去の結果が、現在の状況を生んでしまうので、
永遠ともいえる時間軸から見た場合、この短い人生の中で、新しい大きな変化などはとても起こせないはずです。
つまり事実上「運命は決まっていて」「未来は変えられない」ような人生になるはずだと思います。

しかし瞬間、瞬間、まるでリセットされるように世界が誕生していく世界観においては、
瞬間の生命を変えることで、新しい未来を創っていけるはず。
まさに無限ともいえる可能性の中から、皆の「縁」が世界を選んでいくのです。

私たちは、宇宙生命という大きな流れの中にいるとはいえ・・・
なぜ小さな 「個」 の人間として生まれてきた必要があったのでしょうか?

それは、世界を創る「主体」が、私たちの「波」としての働きだからです。

もし、すべてがひとつに一体化したままの世界であったなら、変化が生まれません。
もし海に、波も潮も無かったら、動かない水は腐ってしまうだけですね。

だから「変化」を生み、生命が生き続けるために、成長するために、
人間が必要だったのだと思います。

私たちは、未熟な人間として生まれ、
時には悩み、時には失敗をし、
それらを乗り越えて前に進んでいくことで、成長していきます。

私たちは未来を望み、その未来を「絶対に創っていくのだ」と決意して、それが原動力となり、行動をしていきます。

この想いが、宇宙生命の意思と合致した時、
大きな新しい「波」 を生み出す働きをもたらし、新しい世界を創っていくのです。

そして全ての人の「意思の力」が、複雑な糸のように絡み合って、
ひとつの世界へと「統合」され、この現実世界が生まれているのだと考えます。

だから「私が世界の主体者だ」と自覚し、
自分が生まれてきた「目的」を、
個の生命に与えられた、自分だけの「働き」を思い出していくことが大切ですね。